実は城崎温泉は、同業者にも人気の観光地であります。毎年、たくさんの全国各地の観光地、温泉地、そして旅館の経営者が視察に来ているのであります。
城崎温泉はまち全体でお客様をもてなそうとするコンセプトが浸透している為に、まちが廃れず、情緒溢れるまち並みが残っているのであります。理屈では分かっていながらこれがなかなか難しいことで、やはりどうしても自館の利益だけを追求しがちで、まちや他者、ましてや同業他社のことなど二の次で、結果としてコンセンサスがとれずにまちは廃れて、総じて温泉地の魅力が欠けてしまうのであります。
城崎温泉らしさは、例えばこんなうちわにも表れています。販促用のうちわは屋号を入れて、旅館個々で作ることが通常であります。その方が、自館のPRにもなりますし、大量に作るのでコストも安くてすみます。ところが城崎温泉では「城崎のうちわ」と称して、個々では作らず、城崎温泉全体のPRにも役立つうちわを作っています。
城崎温泉には小規模な旅館や土産物店が多いことから、実はみんなで大量にデザイン性の高いうちわを作るという意味もあります。
今年で13年も続くこの「城崎のうちわ」事業は、毎年デザインも変えていることから、お客様にはもちろん好評であります。