少し前までは到底想像できなかったことなのですが、この度当館に外国籍のスタッフが加わりました。名前をOsman Wong(オズマン・ウォン)くんと言います。中国系のカナダ人です。なんとアルバイトなんかではありません。いわゆる人手不足を補う為に頭数合わせに雇ったわけでもありません。ワーキングホリディ制度を使ったれっきとした正式なスタッフで、1年間居てくれることになっています。
実は、カナダのヴィクトリア大学との国際交流プログラムで、当館近くの城崎国際アートセンター(KIAC)に毎年6月頃に10日間ほどヴィクトリア大学の学生が滞在いたします。その内の2日間ほど、旅館のスタッフになりきっておもてなし体験する実習プログラムがあり、オズマンくんはその1期生として昨年当館で実習体験をいたしました。その時の印象が良かったようで、今年の6月に大学卒業後、自分の社会人としてのキャリアの一番最初に当館への就職を選んでくれたわけです。
今年の3月の終わり頃に、その旨の意思を伝えるメールが届いた時にはあまりの想定外の申し出に少し戸惑いましたが、もちろんその気持ちに応えないわけには参りません。快く引き受けした次第です。
ここ数年で城崎温泉にも外国からのお客様がかなり増えました。現在だいたい年間に4万人ほどの外国人が城崎温泉に訪れています。中には「えっ、外人多いの?」と、外国人客の多い観光地を敬遠される日本のお客様もおられるのでは無いかと思っています。
でも城崎温泉はけっしてそうではありません。
城崎温泉はいわゆるゴールデンルートから外れたわざわざ行こうとしなければ行くことができない地域、つまりは城崎温泉の佇まいや温泉情緒に魅力を感じ、日本的なマナーを守り、日本に溶け込み、日本の良さを心で感じ楽しみたいと思う外国人が自ら望んで訪れています。外国人ならば誰でもかれでも来ているのではないのです。物を買うことが目的ではありませんので、爆買いの騒々しさも存在いたしません。
オズマンくんも、日本が好きで、城崎温泉が好きで、旅館のおもてなしに憧れて、学ぶ気持ちで当館に参りました。いたって謙虚で、ひたむきで、超まじめです。
そして、人柄もすこぶるいいです。昨年来た時に知り合いになった当館のスタッフは、彼がやって来るのをどれだけ首を長くして待っていたことか…。とにかくさっそくにたくさんのスタッフからいじられて可愛がられています。
1年間でどれだけ成長してくれるのか楽しみでなりません。ご来館のお客様に於かれましても、どうか可愛がっていただきますよう宜しくお願いを申し上げます。