先日のことですが、当館のスタッフ全員参加で消防訓練を実施いたしました。
宿泊施設は消防法によって1年間に2回以上の消防訓練の実施が義務づけられているのですが、当館ではスタッフの防災意識を高め緊張感を維持する為にも毎年年末に消防訓練を実施しています。
旅館はお客様の大切な命をお預かりする商売です。したがって消防署のみならず、警察署や保健所などの監督官庁からの厳しい指導と法令遵守が常に義務づけられています。そして、その為に多大なる人力と多額の費用を負担しています。
今、政府は外国人観光客の増加に伴う都会での深刻なホテル不足を解消する目的で、マンションなどの空き部屋を宿泊施設として利用する「民泊(みんぱく)」を推し進めようとしています。
しかしながら、人を泊めるということはそんなに容易なことではありません。私たちは安全性や秩序の確保を常に求められますが、絶対に完璧だとは言い切れません。
常に緊張感を保ちながら、人もコストも相当にかけて営業をし、しかもそれでも完璧とは言い切れない旅館の立場からすると、この民泊はとても危なっかしくてしかたがありません。
そもそも消防法は1982年にあったホテルニュージャパンの大惨事がきっかけとなって大きく改正をされました。本当は事件・事故があってからでは遅いのです。民泊については現時点でもかなり不安視されています。せめて、自治体ごとの対応ができるよう柔軟な法整備をしていただけたら…と思っています。