先日より、夕食用のお箸（はし）を通常の割り箸から竹箸に替えさせていただきました。主な理由はふたつありまして、ひとつはエコ対策に当館もささやかながら取り組もうとすることから。そして、もうひとつは…皆さまは「蟹フォーク」をご存じでしょうか。今では蟹を食べる際の定番道具の感さえするステンレス製の蟹専用フォークのことでありますが、「フォーク」と言いながら細長いスプーンのような形をしているのが特徴です。本来蟹の身は箸や（蟹の）爪で十分に取り出すことができるのですが、いつの頃からかお客様には重宝されるようになりました。ただし、私としては蟹フォークを使って蟹を食べることはあまりお薦めしていません。これで蟹を食べると金気（かなけ）というか、独特の金属の舌触りが口に残るのです。要するに蟹と金属とは相性が悪いのだと思います。よって蟹フォークを使わずに食べていただく方が、より美味しく食べていただけると思うのであります。確かにこれまでの割り箸では、慣れないお客様には蟹の身をとるのが難しかったかもしれません。それが先が少し細くなった竹箸に替えたことで、身の取り出しが容易になって、つまりは蟹フォークが不要になるものと思います。そうは申しましても一応のところ蟹フォークもご用意していますが、一度試しに蟹フォーク無しで食べてみて下さい。きっと蟹本来の“味”を楽しんでいただけるものと思います。そして、蟹は隅から隅まできれいに食べてやって下さい。食べられた蟹もきっと喜ぶことと思います。
