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城崎温泉は、夜作られる

2005.05.18|行きつけの店・お薦めの店の話

よその温泉地ではどうなのかは知るよしもございませんが、城崎温泉ではいつもどこかで会議が開催されているのであります。特にオフシーズンである最近は、その開催がさらに頻繁なのであります。
「城崎温泉全体が一軒の旅館である」という考えは何度も申し上げてきていることですが、この毎日のように開催される「会議」というものは、いわゆる一企業の営業会議にあたると考えられ、ある時は観光協会が、ある時は旅館組合が、ある時は商工会が、ある時は若だんなの会が会議を招集し、「『城崎温泉』という一軒の旅館をどうするか?」について侃々諤々と議論するのであります。視点が「自館だけ」ではなく「城崎全体」というところに、城崎温泉らしさというものが感じられるのではないでしょうか。

さて、会議を開催するにあたって大事なことは、「日々の接客も怠らないこと」であります。つまり城崎温泉の旅館は小さな営みが多く、社長や専務といってもそれが板長や番頭を兼任していることはよくあることなのであります。会議の開催時間には十分に配慮をしないと、お客様に対する接遇がおろそかになってしまう恐れがあるのです(極端な言い方をすれば「お客様をほったらかしにして営業会議をする」ことになってしまいます)。

公式な会議であれば日中開催はやむを得ませんが、非公式な作戦会議は、実は夜も深まった22時や23時開始ということが多いのであります。なぜならば我々の業務の手が空く時間であるからです。
開催場所は決まって「飲み屋」、「ちょっと一献傾けながら・・・」の会議になるわけですが、呑みすぎはダメですが、ほどよい酔いはむしろユニークなアイディアが出ることになって好都合なのであります。
みんなの傘などはその代表的なもので、あの場所でのあの発言が実用化されるとは、その時は誰も真剣に考えていなかったと思うのであります。

さて、昨夜の会場は「こ夢」という居酒屋。個室もあって作戦会議にはうってつけです。これに限らず、城崎温泉では毎夜どこかでこのような秘密会議が開かれていることと思います。

「城崎温泉」とは、そのような街なのであります。

呑み過ぎには、ご注意を!

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