実は私は、仕事柄テレビをじっくりと見るということがほとんどありません。しいて挙げれば、帰宅後の深夜にようやくホッとして、テレビをぼんやりと見るのが唯一の機会なのかもしれません。
昨日の午前1時30分からのNHK「ルソンの壷」の再放送に、さっきまで宴席でご一緒させていただいていた中田工芸の中田社長が出演されていたので見入ってしまいました。中田工芸さんは豊岡市という片田舎にありながら、市場の5割を占める木製ハンガーのトップメーカーです。
中田さんの素晴らしい業績については既に知っているところではありますが、放送の中で何度か出てくるお父上の言葉にとても感銘をうけた次第です。例えばハンガーは「フク」を掛けるもの。フクとは洋服であり、幸福なのだということです。
そして、「我が社にとって、ハンガーはセールスマン」という話。良いものを作っていれば、どんなに遠いところであっても人はそれを買いにきてくれる。いいハンガーを作れば、そのハンガーが次のお客を連れてくる、ということです。
旅館も同じことで、お客様に満足して帰っていただいたら、そのお客様が顧客となってまた次回来てくれるし、また口コミで広がって新たな顧客が生まれていきます。
かつて私も強くそう思っていました。当館は宣伝しお客様を集めることに重点を置くのではなく、お越しいただくお客様に満足して帰っていただくことに重点を置くのだと…。今でもその経営理念は貫いていますが、ただしここのところどうもぼやけていたと思いかえします。忘れていたのだと思います。
そんな思いの甦りを感じながら、深夜のテレビに釘付けになり、また心が熱くなったのでありました。