蟹の甲羅に付いているプチプチとした黒い粒が「気持ち悪い」と、とあるお客様がおっしゃいました。
まぁ~、蛭(ひる=環形動物)の卵ですから、そう聞けばあんまり気持ちのいいものではありませんが、そうではありませんのでちょっと説明をさせていただきます。
正式には「蟹蛭」と言いますが、実際には蟹には寄生せず、魚類などに寄生して体液を吸って栄養を得ているということです。この蛭が生息する海底の地質が柔らかい泥質に覆われていることから、安定した産卵床を求めて固い蟹の甲羅に産卵するのでこの名が付けられたのだそうで、食品衛生上の問題も全くありません。
だいたい蟹は脱皮しながら成長していくのですが、脱皮直後の蟹は身入りが悪くあまり質がいいとは言えません。
つまり、蟹蛭の卵がたくさん付いているということは、脱皮から時間が経っている証拠であり、“いい蟹”を見分けるひとつの根拠となります。そうなんです、蟹蛭の卵が付いているということは、むしろ喜ばしいことなのであります。ただし、「気持ち悪い」と言われない為に、水揚げの際に取り除いてしまう場合もあります。このように卵が付いていなくても“いい蟹”の場合もありますので、一応の目安とお考え下さい。宜しくお願い申し上げます。
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