申し上げにくいことでありますが、お客様からおしかりを受けてしまいました。しかも、不満を持ったままお帰りいただくといった最悪の対応となってしまい、本当に申し訳なく、深く深く反省をしているところであります。もっとも反省をし改善をしたところで、今さら取り返しのつくことでないのは言うまでもありません。
当館には館内施設の利用時間をはじめとしてお客様に快適にご利用いただく為の当館なりの取り決めというものがあります。また、まちにも外湯の利用をはじめとしたご利用時の取り決めというものがあります。これらの説明に加えて観光情報を含めると、事前にお客様にお話しし、知っておいていただきたい情報はとんでもなく多いのであります。ただし、それらを分かり易くお伝えするのが、プロとしての当館の仕事なのは言うまでもありません。
ことの詳細につきましては言及は控えさせていただきますが、今回のおしかりはそういった利用法についての当館の説明が「無かった」「知らなかった」という当館の説明不足をご指摘されるもので、それによりしかるべきサービスを受け損ねた(事前に知っていれば受けていた)というものでありました。
説明したが理解されていなかった、説明文を置いていたが読んでいただいていなかったでは、もちろん理由になりません。現実問題としてお客様に満足いただいていないわけですから、それらは単なる言い訳でしかないのです。
長年、旅館業を営んできた中で、これまで失敗を重ねながら、多くのことをお客様に教えていただいて参りました。お客様に事前に伝える情報の優先順位やその手段については、経験の中で培ってきたものであります。
まず優先するものは口頭で説明する。そして必ず説明書きを置くなり、貼るなりしておく(例えば今回はフロントに2ヶ所、客室内に1ヶ所の説明文を置いていました)。もちろんホームページなどにも必ず記載をしておく。そして、実はそれらは“じゃらん”や“るるぶ”、“まっぷる”等の旅行雑誌には記載されている情報であったりいたします。さらにはお話し好きなお客様ならば、会話の中で情報を入手される場合もあるでしょう。
大量の情報を全て口頭で説明し、確認し、念を押しながら接客をすることは不可能である為に、段階的にいくつかのハードルを設けるのが一般的な手法だと当館では理解しています。これで概ね問題は無いのですが、例えばこのハードルを全てすり抜けてしまうお客様が居たとすれば、これが大きな問題なのであります。しかもそれが分かったのがお帰り際であり、ご立腹され、お気持ちを納めないままお帰りになることには本当にお詫びのしようも無いのであります。
非は当館にあります。けれども実はこれ以上の対策をどうとっていいのか分からないのであります。高品質な旅館であればそのあたりの問題も難なく解決されているのでありましょうが、少なくとも当館としては、その術を知りません。まだまだ未熟であります。
日々精進し、その先に、お客様の満足があることは言うまでもありません。「接客は難しい」それが常日頃の本心であり、永遠の課題でもあります。