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★ 徒然なるままに...その26 ★

 このページは、普段はお客様を引き立てる側の裏方であるはずの旅館の亭主のひとりごとです。極めて自分勝手に発言しております点、お許し下さい。ページの性質上、ご意見は一切承りませんが、テーマ(お題目)をご提案いただければ、それにお答えする形でこのページを作って参りたいと考えています。メールでのご提案をお待ちしています。         
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【平成15年7月7日 記】
◆ 若だんなは行く

 私の全く個人的な思いなのでありますが、皆さまが恐らく思われているであろう「旅館の女将(おかみ)」という存在には、どうもしっくりと馴染むことができないのであります。昭和30年代に花登筐(はなとこばこ)原作の『細腕繁盛記』がテレビで放映され、それ以来「日本旅館 =(イコール) 女将」という構図ができあがったのだと私は勝手に思いこんでいるのですが、女将と言うと私には派手な着物に髪を結い上げちょいと厚めの化粧でなんだか水商売のママ風の・・・、そんな人物をどうしてもイメージしてしまうのであります(ちょっとイメージが偏りすぎなのはお許し下さい)。
 もちろん全ての女将がそのようなイメージ通りなのではありませんし、女将は旅館にとっては無くてはならないものなのですが、特にバブル期にはそういう「見た目の女将というイメージ」がもてはやされたのも事実だと思います。女将はお客様にとって憧れの存在でもあったのでしょうが、それを過剰に演出しようという動きもあり、実際には女将ではない雇われ女将まで出現したのでありました。
 あくまでも主役はお客様。女将をはじめ我々スタッフは裏方に徹し、縁の下の力持ちであらねばならないのだと思うのですが、どうも女将ばかりが目立ち過ぎ、逆にお客様もそれを期待される風もあることに、私共はいささか抵抗感を持ってしまうのでありました。
 女将がいっぱい集まって「女将の会」を結成されている温泉地も多いようですが、そのようなイメージを持っている私ですから、イベント等で女将がどこか一箇所に集結するとどうも親しみよりも威圧感が先に立ち、少々首をかしげてしまうのであります。もっともこれは私の勝手な意見。女将の会を好意的に思われるお客様もいっぱいおられることと思います。

 さて、話は変わりますが、私はここ数年、縁あって城崎温泉のPR用ポスターの製作責任者をさせていただいております。年に二度、夏と冬にJR西日本の駅などを中心に貼り出されるポスターなんですが、きっと見かけられた方も多いことと思います。
 実は毎度のこと、このポスターを作るのには随分と苦労しているのです。「どういうポスターに仕上げるか?」これで多くの意見が飛び交い、まとめるのが一苦労なのであります。20人いれば20通りの意見が出ます。会議を何度となく開催し、ポスターの原案ができあがれば消え、できあがれば消え、ボツ・ボツ・ボツの繰り返しです。製作責任者の私は体力勝負、精神力勝負なのであります。
 今年の春先のこと「今年もまた、ポスター製作の憂鬱な時期がやってきた」と実は思っていたのですが、誰が言い出したのか「今年のポスターは若だんなでいこう!」という意見が出たのです。これまでのポスターは女性モデルが定番。若だんなとは二世会という我々旅館の若手経営者でつくる会が、イベントの際のユニフォームを作ろうと昨年揃いの着物をこしらえ「“二世会”という名称だとなんだかパッとしないので、着物を着た時だけは“若だんなの会”と名乗ろう」としたものなんですが、これが着物は揃えてはみたもののこれまで一度も具体的な活動も無かったのであります。
 モデルはもちろん自分自身。これには大いに抵抗がありましたが、言い出しっぺは私では無い他の人。これまでのポスターは私が口火を切って推し進めていただけに「皆さんがそうおっしゃるなら・・・、気持ちは随分楽」とあっさりとその意見を聞き入れて、かくしてポスター製作は始まったのであります。

 元々私には才能が無かったということでしょうか、けっこう不純な気持ちで取り組んだ今回のポスター製作も、蓋を開けてみると大当たり。どうやら「男ばかり、それも揃いの着物姿」というのが受けたらしく、ポスターの写真取りの段階からマスコミが大勢取材に来て、けっこうな話題となったのです。しかしながら、どうやらポスターから抜け出た「若だんなの会」自体が途中から一人歩きをし始め、テレビや新聞に何度となく登場することとなったのです。お陰で親戚縁者だけでなく、ご贔屓のお客様からもポスターのことで多数ご連絡をいただくこととなり、なんだか嬉しいよりも恥ずかしい毎日を送っております。
 そもそもはPR用のポスターですので町外に貼るのが本当のところなのですが、JR城崎駅をはじめ町内にもこのポスターはいっぱい貼ってあります。駅前の案内所のカウンター嬢に聞いたところ「自分がこれから泊まる旅館の若だんなの顔をあてっこするお客様がたいへんに多い」とのこと。これからの旅館業界は「女将の会」ではなく「若だんなの会」の時代なのでしょうか?

 まぁ〜、この状況にうぬぼれることなく「城崎温泉はしばらくこの路線で行こう!」と皆で話をしております。
「バカだんな」ではなく「若だんな」
「よろしくお願い申し上げます。」

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