入浴心得


 

 日本人は本当に温泉好きです。温泉に浸かると身も心もすっきりとし、「日本人に生まれて良かったぁ〜」なんて思うことも決して大袈裟ではないのかもしれません。
 温泉はいわゆる共同浴です。最近のご家庭ではほとんどがユニットバスなどの個人浴となり、家族で一緒にお風呂に入ったり、ましてや他人と一緒にお風呂に入ることなどは、温泉旅行の時くらいしかなくなってしまいました。
 温泉(共同浴)を快適に楽しんでいただく為には、お互いがマナーを守って正しく入浴することが大切です。しかし、個人浴が中心の現代において、共同浴でのマナーといってもピンとこないことの方が多いのかもしれません。マナーを知らないことが原因であるにも関わらず、それが為に施設やサービスに対しての不満に繋がってしまうということも多々あるようです。

 城崎温泉にはいつの頃からか『入浴心得五首』というものがあります。これをひもときながら入浴マナーについて検証してみたいと思います。案外、自分では正しいと思っていたことも、思い違いということもあるかもしれません。これを参考にしてあなたも温泉通になって下さい。


入浴心得五首

  1. 気持ちよく湯に入らんとするならば、かかり湯をして体清めよ。

  2. 浴室は浮世の疲れ流すところ、騒ぐは風流知らぬ者なり。

  3. 借り桶を元にもどすはこころよし、お湯にも作法あるものなれば。

  4. 脱衣所に上がりし時は心して、体拭くこそ大事なりけり。

  5. 湯につかる人の心はおだやかに、思いやりこそ功徳積むもの。


猿はいませんので、ご心配なく。

  1. 湯船に入る前に体にお湯をかけて流し、体をきれいにしてから入ります。これが「かかり湯」です。「かかり湯」は体を清めるだけでなく、心臓にかける負担を和らげる役目もあります。また、入浴は首まで入る全身浴ではなく、胸のあたりまでの半身浴でゆっくり入る方が体への負担が少なくて良いようです。
    「かかり湯」をせずにいきなり、湯船に入るお客様は多いです。また、タオルを湯船の中に入れたり、湯船の中で体をこすったりしてもいけません。テレビ番組でリポーターがタオルを体に巻いて入浴しているのは、撮影のためですので、お間違いのないように.......。


  2. 湯船に入り、目を閉じてゆったりと温泉風情にひたる。これが温泉の最大の楽しみ方なのかもしれません。それが心ないお客様の騒ぎ声によって打ち消されてしまっては、楽しいはずの旅も台無しです。また、泳ぐなんてことはもっての他です。
    余談ですが、共同浴は旅人同士が知り合う絶好の場でもあります。「どちらからお越しになりました?」ってな言葉をきっかけに見知らぬ者同士が話をするのも、旅の醍醐味のひとつと言えるでしょう。


  3. 使った後の桶や椅子がきちんと整頓されているのは誠に清々しいものです。湯をはったままの桶や座ったままで放置された椅子は、あんまり気持ちのいいものではありませんネ。他人同士が使うものだからこそ、次の人にも気持ちよく使っていただく配慮は肝心です。
    浴室内での使用済みの歯ブラシ、カミソリ、ヘアーキャップ等の放置、脱衣場での手ぬぐい、バスタオルの放置もよくあります。
    ちょっとした心遣いから楽しい旅が始まります。

  4. お風呂から上がる(出る)際に皆さんは何処で体を拭いていますか?
    ユニットバスの利用(個人浴)が多いからだと思うのですが、濡れた体のままで滴をたらしながら脱衣所に上がってきて、ここで初めてバスタオルで体を拭くお客様がたいへんに多いです。歩いてきた後ろを振り返れば、半漁人の上陸のごとくに濡れた足跡が点々とついています(昔、ウルトラQでありました)。これでは入浴の度に乾いたバスタオルが必要になります。
    「エッ。これってマナー違反なのっ?」と思われる方も多いはず。お家では風呂場の入口ドアはすぐに手の届くところにあり、ドアをあければこれまた手の届くところにバスタオルも置いてあるのでしょうが、それはお家のお風呂に限ったことです。
    正しくは浴室内で手ぬぐいにて体を拭き、そして脱衣場に上がります。「昔は薄っぺらな日本手ぬぐい一本で全身をきれいに拭いたもんだぁ!」とは某テレビ番組での“日本の文化”についての武田鉄矢氏の弁。時代はどんどんと変わっていますので、これがいつまでも正論とは申しませんが、「手ぬぐい一本をとっても、道具を器用に使う日本人独特の文化っていうものがあるのだなぁ〜。」と思った次第です。

  5. 『入浴心得』と申しましても、そのほとんどが共同浴での禁止事項ということになり、これではお客様は入浴する前からうんざりしてしまうかもしれません。要は、お互いがお互いのことを思いやり、迷惑をかけないようにすることが第一ということになります。この場合のお互いというのは、勿論お客様同士のことですが、できれば湯番さん(外湯で働く人)への思いやりも大切にしていただければより嬉しく思います。   



 

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