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冬の心得

 「蟹は食べたいけれども雪はちょっと…」というお客様の声をよく耳にいたします。「(○月○日頃は)雪は降りますか?」とのお問い合わせもよくいただきます。
 冬の城崎温泉では雪は特に珍しいものではありません。もっとも、ひと昔前までは豪雪と言うにふさわしく1mを越えて積もることもよくありましたが、ここ最近は温暖化の影響からか、以前に比べれば積雪量はかなり少なくなりました。また、お客様の中には冬の間はいつでも雪が積もっているとイメージされている方もあるようですが、決してそんなことはありません。
 ただし、そうは言っても自然のことですから、いつどのように降るかは地元の者でも予測がつかないのが正直なところです。
 
冬の城崎温泉の注意事項や心がけを思いつくまま、以下に記します。参考にしていただきましたら幸いです。

 まず第一には気持ちの持ち方が大切だと思います。「雪=苦手」、見ただけで「寒い」と思われるようでしたら、気持ちをもっと前向きに変えてみて下さい。
 また、たいへんに失礼ながら、苦手意識をお持ちの方に限って準備不足のようにも思います。雪に対してもっと前向きな気持ちを持っていただき、同時に以下に記すような準備を整えていただければ、雪の降る日でも楽しい旅をしていただけるものと思います。

 「蟹は寒い時に食べるから美味しい」のであります。雪景色を眺めながらの食事ができるとしたら、それはむしろ最高のご馳走だと思います。

 旅行に際しての服装ですが、スーツに革靴はお薦めできません。ヒールの高い靴もたとえブーツであっても関心しません。ましてや夏と変わらないような軽備な靴は禁物です。
 また、手荷物が多いのも雪が降った時には厄介ですので工夫が必要です。着る物も厚着になって身のこなしも大変でしょうから、できるだけ少なめにまとめられるのがいいと思います。喫茶店やお土産物屋さんなどの狭い店内では、荷物の多さや厚着による不自由さからどうしてもいらいらしがちです。最近では、トレッキング用の運動靴にリュックを背負った方をよく見かけますが、身のこなしが軽くなかなか賢い選択だと思います。

 雪が積もりはじめると、「消雪装置」といって雪を溶かすための水が道路の中央から出て参ります。これが結構厄介者でして、特に歩行者は注意が必要です。防水力の弱い靴はたちまち濡れてしまいますし(したがってフォーマルな靴は不適格)、車の跳ね上げた水が、横方向から飛んでくることもあります。
 車を運転の方におかれましては、消雪装置から水が出ている際は、歩行者には十分配慮し、水を跳ね上げないよう徐行運転を必ずしていただきますようお願いいたします。

 冬の天気は非常に変わりやすいです。さっきまで快晴であっても、一転突然に雪が降りはじめることはよくあることです。「弁当忘れても傘忘れるな」とは当地方のことわざですが、昔の人はうまいことを言ったものです。折り畳み式で結構ですから傘は必ずお持ち下さい。

 お天気を確認されるならば、あらかじめ週間天気予報を確認の後に必ず前日の天気予報を見て下さい。城崎温泉は「兵庫県北部」地方です。冬の天気は変わりやすく、1日にして真逆の天候になることはよくあることです。2〜3日前の予報だけではあてにならないことが多いです。電話でのお問い合せも同じことで、前日か当日にお問い合せをいただかないと、正確な情報をお伝えすることができません。1〜2ヶ月前から「だいじょうぶ?」とお問い合わせをいただいても、答えようがないのが正直なところであります。

 天気図の見方をご存じでしょうか?
 冬型の気圧配置というのは西高東低の気圧配置のことをいいます。等圧線が縦向きに並んだ状態がそうです(通常は横向きに並んでいると思います)。特に等圧線と等圧線の間が狭いほど大雪になります。西高東低の気圧配置の時は、太平洋側(例えば京阪神)は晴れて、日本海側(城崎温泉)は雪となります。「家を出るときは晴れていたのに、城崎温泉に近づくにつれて天気が悪くなってきた…」とおっしゃるお客様が多いのですが、それは全くの想定内のことでして、ご自宅を出る時のお天気だけで判断されぬよう、自然のいたずらにだまされないようにご注意下さい。
 ちなみに、当地(日本海側)では、冬の雷(かみなり)も多いです。大雪の降る前は、空が暗くなり雷が鳴ります。これを「雪起こし」と呼びます。

 雪には、山雪と海雪があります。風が強ければ風が雪を山沿いに運んでいき山沿いによく雪が降り、風がなければ海沿いによく雪が降ります。ですから、城崎温泉で雪の降る量が少なくても、途中の八鹿や和田山あたりが大雪のこともあれば、逆に城崎温泉だけが大雪ということもあります。また、小さな山をひとつ挟んでも降雪量には大きな差がでる場合があります。
 お車のお客様が道中中途から「どのルートを通ると良いか?」と雪の(できるだけ)少ないルートを電話で当館にお尋ねになることがございますが、正直申し上げて10q以上離れると詳細な降雪状況は全く把握できないのです。そのような時は付近のガソリンスタンドにお尋ねいただき、現地でご判断下さい。ガソリンスタンドは積雪情報の宝庫です。

 お車をご利用の場合で、タイヤがスタッドレスではなくノーマルならば、タイヤチェーンは必ずご用意下さい。お持ちでない方はもったいないとは思わないで、事前に購入されることをお薦めします。それだけで、かなり心強くなると思います。めったに使う物ではないので一番安物で十分です(確率からすると使わない確率の方が高いと思います)。また、チェーンを用意するということは、(最悪の場合は雪上で装着しなければならないと考え)軍手や長靴、スコップ等も併せて用意しておかなければなりません。
 それから事前に装着の練習をしておいて下さい。チェーンを着けなければならなくなった時に初めて説明書を読んでおられるようであれば、吹雪の中でのぶっつけ本番での装着作業は、もう最悪だとお察しいたします。
 なお、装着方法が分からずにお困りになって、当館にチェーンの付け方をお尋ねになる場合がありますが、チェーンの種類も様々ですし、私たち地元の者はスタッドレスタイヤを装着していてチェーンを着けて走ることはありませんのでチェーンの装着については素人レベルなのが本当のところであります。

 実は、チェーンの装着で最も手間いらずは、ガソリンスタンドに依頼することです。ただし、装着料金は支払わなければなりませんし、忙しい時は断られる場合もあります。
 なお、ガソリンスタンドにもチェーンは売っています。ただし、数量には限りがありますので売り切れるのも早いです。やはり事前にご用意されておくべきでしょう。  

 ご自分の車の特性はご存じでしょうか?
 例えば駆動方式です。FF(前輪駆動)かFR(後輪駆動)か4WD(4輪駆動)かお分かりですか?
 雪道では急発進急ブレーキは絶対にしてはいけない行為ですが、カーブも注意しなければなりません。カーブではFF車は前輪が外に行こうとしますし、FR車は内に入り込もうとします。また、チェーンは駆動輪に装着するのが常識ですが、FF車なのに後輪に装着したり、FR車なのに前輪に装着してしまうケースは案外多いです。なお、4WD車は前輪に装着して下さい。
 また、雪上での発車の際はセカンド発進を、停車の場合はエンジンブレーキの活用をして下さい。車によってはABS(アンチロックブレーキシステム)等がついている場合がありますのでご確認下さい。また、オートマチック車でのセカンド発進やエンジンブレーキ等のかけ方は車種によって違う場合がありますので、事前によく調べておいて下さい。


 マナーに関するお願い事項を2つ…。
 最近は、二輪式ピギータイプのカバンを持つお客様がかなり多くなりました。機能性があってそれはそれでいいのですが、実は旅館にとってはかなりな厄介者です。
 お客様は玄関で靴を脱いでお上がりになりますが、ピギータイプはそのままお部屋までお持ち込みです。降雪の場合、車輪だけでなくカバン全体にかなりの泥や水滴が付着しています。畳はたちまち汚れ、傷みます。一旦、こうなりました畳は元に戻りませんので、格段のご配慮を賜れば幸いです。

 雪景色というのは、やっぱり素晴らしいと思います。当館中庭の雪景色は、また格別です。これを楽しみにご来館いただくお客様も多いです。ただ、雪景色と申しましても冬期間に渡ってご覧いただけるわけではありません。シーズン通して合計しても1ヶ月程度なのかもしれません。しかし、館外や道路沿いに雪が無くなっても、庭の雪はそれよりも長い期間残しています。できるだけ多くのお客様に雪景色をご覧いただけるよう、雪をきれいに残すことにはかなりの努力をしております。
 「雪を踏んでみたい」とか「できるだけ近くに行って写真を撮りたい」とのお客様も多いのですが、庭の雪景色は必ず周りからご覧いただくようにお願いしています。中に入って歩き回り、雪を踏みしめてしまうと景色が台無しになってしまうからです。一旦こうなってしまうと修復不可能で、場合によってはシーズン中足跡が残ったままになってしまいます。また、雪融けも早まってしまいます。たいへんにに残念なことです。
 ご来館いただくできるだけ多くのお客様に、同じように楽しんでいただきたく思います。ご理解とご協力を宜しくお願い申し上げます。
こんな行為はぜったいにお止め下さい (T_T)


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